大まかな内容は、「みさなんには殺し合いをしてもらいます」的なバトルロイヤルものと推理モノを足した感じ。このバトルロイヤルの絶望感を引き立てるための見事な一点豪華主義のおかげもあり、楽しみどころがハッキリとしていてこの部分の勢いだけでも十二分に面白かった。それでいて、最終回の意外性と、私の中では最善だったと言えるラストシーンのかっこよさもあり、最後までみると決してエンターテイメント性だけのアニメではなく、しっかりと作品として完結しているな、という後味も残っている。
よくアニメの前評判で「声優が豪華」という評判を目にする。声優に詳しくない私にはあまりピンとかなかったのだが、このアニメに関してはそんな私でも明らかにわかる声優の豪華さだった。
まず、悪の権化モノクマの声が大山信代さん。あのビジュアルにあの声だともはやドラえもんにしか見えないわけだが、そんなモノクマ殺し合いを指示しているのだから、これだけで物凄いインパクトがある。さらに言うと、このモノクマのキャラがよくある悪役の中でも、いつもヘラヘラとふざけ半分の一番こわくて救いようのないタイプということもすばらしい。このキャラと声の組み合わせだけでもこのアニメを見る価値がある。一回だけオープニングになっていたドラえもん音頭ならぬ「モノクマ音頭」を見たときは、製作者の悪意をすべて受け入れたいという気持ちになった。
さらにその他キャラも聞き馴染みがありすぎるほどの有名どころ。普通なら、そのアニメの中に一人だけいると良いアクセントになるようなタイプの声優さんがひしめき合っていて、それでいて誰が死んでもおかしくないという状況が、「怖い」を通り越して少し「面白い」に入っているのだが、それが良い。
全体のつくりは、いかにも「原作のゲームの感じを重視しているんだろうな」という感じで、やや単調に感じた。とくに中盤は殺人→推理→殺人→推理、という流れをくり返すのでストーリーが展開しているという感じがあまりしなかった。どちらかというと名探偵コナンを見ているような面白みがある。「ゲームの感じ」と言えば、特に裁判のシーンはゲーム感を強く感じた。鉄砲に込めた玉で意見をいう表現や、投票タイムのスロットみたいなやつは、おそらくゲームからそのまま持ってきているのだろうけど、アニメ的には唐突過ぎるように感じた。
中盤はそんな感じだったが、最終回の終わり方はすごく良かった。真実が明らかになってからのテンポの良さと、ラストシーンの「全ては明らかにせず漠然とした不安を残しつつ、しかし前進する」という感じは、見ていて「これが正解!」と思った。だた逆に考えると、この終わり方で完結の方が作品として美しいと感じたので、二期でこの続きをやってしまうのは野暮になってしまうのでないかとも思う。
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