2ちゃんねるや知恵袋などで「良かったアニメ、おすすめのアニメは何?」みたいな話題になると必ず名前が上がるアニメの一つだと思います。その他にはブラックラグーン、攻殻機動隊、プラネテス等がよく出てくる印象があります。私はこの中ではブラックラグーン、攻殻機動隊は見たことがありまして、世間の評判通り私の中でも最も良かったアニメの一つに入っています。
バッカーノに関しては、何となく「なんか違うかな」なんて思いながら観ずにいたのですが、やはり名作は観ておいた方がいいと思い、夏休みを利用し一気に観てみました。
視聴前の前情報として「主人公がいないこと」は知っていたのですが、実際にはそれ以外の作り的にも変わっていて、特に名作と呼ばれるものの中では特殊な作品であるという印象でした。
「主人公がいない」ということは主観がコロコロ変わるということなのですが、コロコロ変わるのは主観だけではなく、時間、場所、さらにストーリーの筋までもが目まぐるしく入れ替わりながら放送が進んでいきます。つまり、様々な場所、時間で起きている物語を同時進行で観ることになるのです。初めからよーいドンで大勢の登場人物と共に複数の物語が動き始めるので、正直、序盤は頭がついていきませんでした。しかし心配は要りません。物語が進むにつれ全体にかかっていた靄が少しずつ晴れるように全体像が見えはじめ、それと同時にそれぞれの登場人物、ストーリーが複雑に関係し合っていることが分かります。この徐々に靄が晴れる感じこそが、このアニメの最大の魅力だと思います。一般的なアニメでは例えば全13話の中でも面白さに浮き沈みがあるものです。しかしバッカーノの場合、最終回のギリギリまで面白くなり続けるのです。さらに比較を続けると、普通のアニメが一本線もしくは二、三本線のストーリーなのだとしたら、バッカーノは立体のストーリーです。次々と変わるシーンのどこを切ってもストーリーが詰まっているかのように、1つのアニメであってもその密度感が全く違うのです。おそらくこのアニメを一般的な構成に解いたとしたら、全25話以上になってもおかしくない筈です。逆に言えばそれだけの内容を13話に詰め込んでいるわけですから、面白いのも当たり前のことかもしれません。
同じく「名作」と称されることが多いものの中で私が観たことのある、攻殻機動隊とブラックラグーンとこのバッカーノは作りが大きく違うので比較することはできませんが、どちらが面白かったと言われれば私はなんだかんだ前者2つに分があると思います。
バッカーノの複数のストーリーを詰め込んだ構造は、全体ではプラス効果が大きいのですが、やはりマイナス面もあります。ストーリー上で「ここぞ」という場面をより印象的にみせるにはそこに至るまでのスピード感の調整が重要です。この点でみてみるとバッカーノは常にハイテンションでストーリーの緩急があまりありません。そのため「スゴイカッコいい」とか「スゴイ感動する」みたいな場面の最高到達点に関しては前者2つには劣ってしまうのです。
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