残酷なシーンや裸、若しくはその組み合わせなどの過激な表現が多用されているため基本的にはCSのみで放送。地上波版は大幅な修正やカットがあったということなので、「隠れた名作」の部類に入るのでしょうか。
実は御都合主義てきなストーリーの部分も多く、作画的にも大したことはなかったりします。しかし、見ていくうちに見事なまでに出来上がった世界観に引き込まれ最終的には「みてよかった。」と思わずにはいられません。全体の重厚な雰囲気はそこら辺のチャラチャラしたアニメとは一線を画した存在感があります。
オープニングであり挿入歌であり、劇中歌である『LILIUM』という曲。エルフェンリートを見たことがある人なら、このアニメを思い出すときに真っ先に頭の中で流れ出す程印象深い曲です。聖歌をベースに歌詞はラテン語で作られているようで、荘厳でいて悲しげな雰囲気があります。この曲がOPと挿入歌、さらに主人公とヒロインの思い出の曲としても登場し、アニメ全体の陰鬱した雰囲気とあいまって全体をきれいで感動的にまとめ上げています。これほど主題歌がアニメ全体の印象にまで影響を与えている例はほかにはないのでしょうか。よくよく考えるとあらが目立つ脚本部分も、この曲でまとめることで卵とじ状態になり美味しく頂くことができるのです。
過激な表現が多いことでも有名なこのアニメですが、私はこれらの表現も決して無駄なものではなかったと思います。表現をどの程度するかということは様々な意見があるとは思いますが、少なくともこのアニメの場合、他のアニメとの差別化という意味で特別感の演出に一役かっていると思います。
まず残酷描写についてですが、これはこのアニメ自体に緊張感を持たせるために絶対に必要なものだったと思います。人間があまりにもあっさりと惨殺されるシーンは、どこまでいってもディクロニウスは人間にとって危険な存在であるということを強く印象付けますし、単純にハラハラ感も増すので、表面的なおもしろさにもつながっています。
全裸シーンも堂々と入っています。しかし誤解してほしくないのは別にエロいシーンではない(捉え方は人それぞれですが)ということです。地上波版では修正が入っているということですが、変に隠すと逆に意味合いが変わってエロくなってしまう気がします。
素敵な世界観のおかげであまり気になりませんが、実はよくない部分も結構あります。
私が一番気になったのは主人公。行動や言動には表れていませんが、実は下心満載の変態なのではなかろうかと勘繰ってしまいたくなるような「なにか」を私は感じてしまいます。また、ここまで重厚な雰囲気のこのアニメ中で、主人公を中心とした「ハーレム構造」は絶対に必要ありません。実は、この主人公の嫌さは私がこのアニメを嫌いになってしまう原因になってもおかしくないくらいのものだったのですが、実際には主人公の行動はそれほどストーリーに影響することがないのでセーフでした。
その他、気になったことを羅列すると
都合よく記憶喪失を使いすぎ
ナナが本能的に人を殺したくならないのはなぜ?
孤児院のいじめっ子たちが異常すぎて理解できない
坂東がかませ犬すぎ
わん太はいつ帰ってきたの?
角が耳にしか見えない
など大小いろいろとあるのですが、あまり気にならないというのが実際のところです。
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