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彗星のガルガンティア



まず、とても良かったのが背景の美しさ。舞台は陸地がない未来の地球で、人間は巨大な船(ガルガンティア)の上で生活している、という設定。一目見て感動的なのは、海のエメラルドグリーン、空のスカイブルー、ガルガンティアの白、オレンジ、黄色、と背景の色が限定されていて、これがとても美しいということ。最も広い面積を占める青系の色に暖色のガルガンティアが鮮やかに浮かび上がる感じで、特にサビのオレンジまでそのバランスの一部になっているところなどは、よく考えられてるなと感心した。
それから作画の到達点も非常に高く、3話の海賊との戦闘シーンは、水しぶきに越しに見る照明の感じなどはFateZeroの戦闘シーンに勝るとも劣らない完成度だった(と思う)。ただ、迫力のある戦闘シーンという意味では後にも先にも3話が最後だったようで、その後の尻すぼみ感は否めない。
ストーリー面では主人公レドの圧倒的な価値観の違いが面白かった。「ジブンガシタイコト?イミガワカラナイ・・」本気で言ってるのか?とは思ったが、生まれたときから戦うことだけをすり込まれたらそうなるのかな、と妙に納得してしまったりもする。それほど我々からすればありえないような生き方をしてきたということなのだろう。それにしてもあんなにもロボットのようになれるのか?とは思うが。4話のべベルが吹いた笛の音色で、人間的感情が湧きあがり突然涙を流すシーンとかは、まるでタチコマがオイルの涙を流したシーンをみたときのような気分になった。このあたりが序盤の見所で、価値観の違いがあるということは「その差を埋めることができるのか」というのがその後のキモになってくるわけである。
それから、全体の雰囲気からするとやや不釣り合いなエロス要素は賛否が分かれそうなところだ。謝肉祭の話の「レド目の前でお色気ダンスを踊る」というシーンは「なんだこれ?」とは思ったが・・・。

そのあたりの理由で前半から中盤にかけては、おおむね期待できる内容だった。しかし、残念なことに終盤あたりからストーリー上の明らかな欠陥によって、作品全体の品位が台無しになる。私がストーリーにケチをつけるときは大抵が「とってつけたような恋愛要素」とか「偽善的な主人公」とかだが、このアニメに関してはそういうことではなく、ストーリーの根幹に関わる明らかな落ち度だ。
このアニメの大きなテーマは「姿や生まれ、考え方が違っても人間は分かりあえることができるのか」といもの。その象徴的な存在として、レドやヒディアーズが登場してくるわけである。そして、レドはガルガンティアの人々との交流で少しずつ人間らしい考え方を獲得し、ヒディアーズ(クジライカ)に対しても、辛い真実を知ると同時にその考え方は変わりつつあった。というようにテーマに対してはある程度希望を持てるような展開になっていわけである。
そんな時に登場したのが「クーゲル船団」。神への信仰心が強く、生贄をささげてしまうような、現在では絶対にありえないような価値観を持っている。と同時に、人間を生贄にするということは歴史上間違いなく実在したことで、そういった人たちもまた我々と同じ人間であるということも理解しておかなくてはならない。
そんなクーゲル船団に対する扱いが明らかに間違っているのである。
(このあたりからは見たことを前提に書きます。)
生贄をささげる様子を見てしまったピニオンの一言「やっぱこいつら無理だわ!」。いかにも「今までの俺、間違ってた。本当に大切なことがなんなのか分かったぜ。」みたいないい方で、ストーリ的にも、このセリフをきっかけに空気がガラリと変わる感じになっていた。要するに、「クーゲル船団」という絶対的な悪の存在が浮かび上がることで、フィナーレに向けてストーリーが加速していくつくりになっているわけである。しかし、これは明らかにおかしい。神を信じ続けてきただけの彼らが悪なのだとしたら、戦うことしか知らなかったレドも悪、人と分かりあえずに戦ってきたヒディアーズも悪、ということにならなければ筋が通らない。便宜上の理由だけで、あっさり切り捨てていい存在ではないことくらい、少し考えればわかるはずだ。理屈っぽく言っているが、自然に見ていても、それまでの流れからどう考えてもクーゲル船団が悪には感じられないのである。そのため「やっぱこいつらダメだわ!」と言われた時には正直「はぁ?」と思った。良いことみたいに言ってることに無性に腹が立つ。なぜ、前半の作画面ではあそこまでのクオリティをみせていたのに、こんなにも分かりやすい破綻をよしとしたのか、まったく疑問だ。
また、そこからの展開が「クーゲル船団=悪」を前提として進んでいくのでまるでしっくりこないものになってしまった。例えば序盤でガンガンティアを襲った女海賊が最後は一緒に戦うことになるのだが、この「はじめは敵だったやつが、真の悪の前では仲間になる」展開も、そもそもが揺らいでしまって、なんだかよく分からない感じになっている。
その他終盤の展開は、詰め込み過ぎた感が強く「この人は今、何を考えているんだっけ?」と混乱をしてしまった。

破綻しまくったストーリーの中ではチェインバーだけが最後までブレずにかっこいい存在だったのかもしれない。最後の最後で、「もう支援は必要ない」と言ってレドを強制的に脱出させ、単機で最後の決着をつけたシーンは、熱くなるものがあったし、作画的にも最初の頃の輝きを取り戻していたと思う。「AIが感情を持っているのかもしれない」という展開はもはや鉄板である。それまでが酷かっただけに何かホッとするような気さえしたのは私だけだろうか。

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