「最終回が近づくほど、つまらなくなる」
一端のストーリーがありつつテンションが高いギャグアニメに付きまとうジレンマですが、このアニメも例外ではありませんでした。
「しゃべりまくるニャル子さんをはじめとした登場人物たちに、主人公がつっこむ」という構造だけで面白さとしては十分なのですが、最終回を見据えた瞬間に余計な「イイ感じ」要素が入ってきてしまいます。
例えば、テンションが高いニャル子さんが突然頬を赤らめてしおらしくなる必要はあるのでしょうか。「こういう要素も入れた方が良いんでしょ?最終回もあるんだし、ハイテンションなだけじゃねぇ。」という考え方があるのも分かります。しかし安易にそれをやってしまうと、それまでの持ち味がほぼなくなり、「このアニメである意味」が危うくなってしまう可能性があるのです。
最終回も案の定な感じでした。前半部分は明らかな「時間の無駄使い」、突然誰もいない世界に迷い込んだ主人公が孤独のなかで「なんだかんだであいつらがいないと寂しい・・・」みたいな感じになるのですが、正直言ってどうでもいいです。こういう展開が成立するには、そこまでにそれなりのリアリティがある日常感が必要です。貴重な最後の一話の半分を「持ち味ゼロ」で消化してしまったのは、非常に残念です。
とはいえ、ニャル子さんの「ハイテンションおしゃべりキャラ」としての完成度の高さもあり、全体的には平均以上に楽しめる作品でした。
『ニャル子さん』といえば頻発されるパロディネタだという人がいるようですが、私はパロディネタは製作者から視聴者及び読者への直接的なギャグであり、作品を通しているようで通していないものだと思っています(いや、『ニャル子さん』の場合は設定として地球のオタク文化が登場しているから作品を通していることになるのかも)。別にパロディのほとんどが理解できなかったことへのひがみではありませんが、パロディネタは作品の評価そのものにはあまり関わらないものだと思います。
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