2期が始まったタイミングで記録を残しとおこうと思います。もちろん1期についてです。
私の記憶ではこのが昨今の露骨な妹もの、さらにタイトル文書もののはしりだったと思います。そしてこのアニメにはその後の大きな流れを作るだけのエネルギーがあったことも間違いありません。
このアニメで私が最も評価したい点は「妹という存在の適度なリアリティー」です。他の記事でも散々書きましたがブームに乗っかった二番煎じ三番煎じはいまひとつ、というのが世の常です。このアニメもヒット後に妹ものアニメが続出しました。しかしそれらの後発アニメたちとの差はあまりにも顕著、というよりはオリジナルである『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(以下『俺妹』)だけが唯一「妹」という存在をどう捉えるかということに関してのコンセプトが違ったのです。
どういうことかというと、後発した妹ものアニメでは「妹」という存在はあくまでも「主人公の身近に美少女がいるにも関わらず主人公はそ冷めている。そして恋愛にも発展しない。」という状況を作り出すための既成事実程度でしかないのです。あとは「お兄ちゃん」というワードがほしい程度の要素でしかありません。
しかしこのアニメは違いました。ひとつ屋根の下、兄弟という関係性のリアルな距離感を常に意識させています。実際、視聴者の兄弟関係によってこのアニメの見え方は大きく変わってしまうかもしれません。私は年齢の関係的にちょうど同じくらいの妹がいるので「あぁこのかんじ、分かる」と現実の写し鏡を見ているような少し不思議な気分になってしまいました。例えば、妹の部屋の部屋に入るのがよく考えれば久しぶりで、色味とか空気感が違ってなんとなく落ち着かなくなる感じや、学校から帰ってくるとリビングで携帯をいじっている妹が “なんかいる” 感じとか、とにかく絶妙すぎて例えもよくわからない感じなってしまうくらいのあるある感だったのです。
後発のアニメに話を戻すと、妹が登場することの最終的な利益は「とにかく可愛い」ということでした。よく「実際の妹がいる奴は妹萌えはないよな~。」みたいなことが言われていますが、そんなことはないと思います。なぜなら、そこに登場する妹は同級生とかとほとんど同じ「とにかく可愛い」幻想の存在だからです。
『俺妹』で描かれる最終的な利益は「普段はあまりしゃべらないけど、たまには頼りにされるのもいいなぁ」という感じなのです。「とにかく可愛い」とは決定的に違って、強いて言えば「なんか嬉しい」みたいな感じです。この部分は「こうだったらいいかもな」という幻想の要素が強くなります。現実に根差しているからこそ、そこからの飛躍が魅力的に感じるのかもしれません。そろそろ気持ち悪くなってきたので妹についての話題はこれくらいにしておきます。
ストーリーに関しては「実はオタク趣味を持っていた妹にふりまわされる兄」という設定が終始抜け落ちることがなく、オタクの世界に困惑する主人公の目線が常にアクセントになっていて本当に退屈しないとても面白いものでした。感動や戦闘シーンがあるわけでもないのに、あんなに時間が短く感じるのも初めてといってもいいかもしれません。
とにかくこのアニメはストーリーも秀逸で、何より兄弟関係のの現実味からくる気持ちの良い入り込みは、妹がいる人にこそ怖いもの見たさでも見てほしい。そんな素晴らしいアニメだったのです。
が、しかし、良いものに毒は付き物のようで、私にとっては決定的な欠点が1つだけあったのです。
これは全く個人的な問題なのですが、とにかく黒猫みたいなやつと主人公がイイ感じになる展開が「ものすごくいや」なのです。
最初にテレビ放送された分にはそういって場面は全くなかったのですが、その後ネット配信分が公開されるころから「どうやらくっつくらしい」という風のうわさが耳に入っていしまい怖くなって配信は観ていませんでした。しかし2期放送決定に当たって配信分を含めた再放送がやるということで、ついに意を決してみてみると案の定な展開に。案の定、黒猫が主人公の高校に入学、案の定、黒猫が学校で孤立、案の定、主人公が世話を焼く、案の定、遠回しな告白。
2期でもこの流れは続きそうな雰囲気です。
見るべきか見ざるべきか。
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